体のかゆみが治まっても、しばらくしたら繰り返すこともあるアトピー性皮膚炎。幼少から悩まされた方もいるかと思います。アトピー性皮膚炎は慢性的に症状が繰り返されるため、日常生活から注意すべきことが多くあります。今回はアトピー性皮膚炎の症状や原因、一般的な治療法や最新の治療法(再生医療)などを紹介します。
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1. アトピー性皮膚炎の症状と原因
アトピー性皮膚炎とは一般的にアトピーと呼ばれ、かゆみを伴う湿疹が一時的に良くなったり、悪くなったりを繰り返す病気です。紫外線や乾燥、衣類などの外的刺激により、皮膚のバリア機能が低下することで起こります。
皮膚のバリア機能というのは、皮膚の中に侵入しようとする異物や体内の水分の蒸発を防ぐことで、皮膚の潤いを守るもの。バリア機能が低下すると、皮膚が乾燥し、かゆみを感じやすくなり、掻きむしるとさらに低下してしまうという悪循環を招きます。
アトピー性皮膚炎を発症すると、患部が赤くなったり、小さなブツブツができたりして、かゆみを伴う湿疹ができます。湿疹の炎症が落ち着くにつれて、皮膚が乾燥して剥ける、皮が厚くなってかさぶたができるなどの症状を繰り返します。
またアトピー性皮膚炎は年齢によっても現れやすい部位が変わります。乳児期では頭や顔、首にできやすく、ひどくなると胸や背中、手足にも症状が起こります。幼児・学童期は首回りや肘、膝の関節の内側、思春・成人期は顔や首、胸、背中などの上半身にできやすくなります。どの年齢でも左右対称に症状が現れやすいのもアトピー性皮膚炎の特徴といえるでしょう。
アトピー性皮膚炎は主にアレルギーを起こしやすい体質(アトピー素因)を持った人に、汗やストレス、過労などのさまざまな環境要因が重って起こります。アトピー素因というのは、気管支喘息やアレルギー性鼻炎などのアレルギー疾患、またアレルギーに反応するIgE抗体を産生しやすい体質のことをいいます。
アトピー性皮膚炎を悪化させる以下の要因もあります。
・黄色ブドウ球菌
・ダニやカビ
・汗
・ペット
・栄養バランスの乱れ
・ストレス
・睡眠不足
・過労
症状が出る原因はさまざまなため、前回の発症の要因が今回も当てはまるわけではありません。その時の原因に合わせた対策が必要です。
2. アトピー性皮膚炎の重症度と一般的な治療法
ここではアトピー性皮膚炎の重症度と一般的な治療法を解説します。
アトピー性皮膚炎は、湿疹の状態によって軽症~最重症の4つの重症度に分類されます。
軽 症:面積に関わらず軽度の皮疹のみ
中等症:強い炎症を伴う皮疹が体表面積の10%未満
重 症:強い炎症を伴う皮疹が体表面積の10%以上、30%未満
最重症:強い炎症を伴う皮疹が体表面積の30%以上
特に学童期は症状が悪化しやすい傾向にあり、重症以上の占める割合では学童期の年齢が上がるにつれて上昇することがわかっています。またかゆみの症状がひどく夜眠れない場合は、発育への影響や学校の授業に集中できないなどの影響も懸念されます。そして顔に症状がある場合は、白内障や網膜剥離などの合併症から視力に影響が出る場合もあります。
アトピー性皮膚炎の一般的な治療法は、①薬物療法、②スキンケア、③悪化要因への対策の3つが欠かせません。①薬物療法ではステロイドの外用薬や内服、タクロリムス軟膏などを使用し、炎症を抑えます。②スキンケアでは保湿剤や軟膏などを使用して、皮膚の清潔を保ちながら肌を乾燥させないようにします。③悪化要因への対策では、アトピー性皮膚炎が悪化する要因を特定し可能な限り取り除きます。適切な治療を行い、症状を悪化させないことが重要です。
3. 日常生活で気を付けること
アトピー性皮膚炎を悪化させないためには日々の予防と対策が大切です。ここでは特に気を付けたい5つを解説します。
・汚れた時はスキンケア
汗をかいたり外で遊んで体が汚れてしまったりした状態が長く続くのは、皮膚の衛生上、好ましくありません。体に付着した汚れはできるだけ早く落とし、皮膚を清潔にした後はしっかりと保湿をしましょう。
・爪を清潔に保つ
爪の間は汚れが入り込みやすく、手洗いをしても汚れが十分に取れていないことが多いです。爪の間には黄色ブドウ球菌と呼ばれる細菌が多く、その手で体を触るとアトピー性皮膚炎の症状が悪化することもあります。こまめな手洗いと爪切りで清潔に保つようにしましょう。
・乳幼児のよだれ対策
乳幼児はよだれによる刺激で口の周りの湿疹が治りにくい場合があります。その時は、食事の後は口の周りを清潔にして、ワセリンなどを塗って、よだれの刺激から皮膚を守りましょう。
・髪形が皮膚を刺激することも
毛先の刺激は湿疹を作りやすいため、顔を刺激しないような髪形にしましょう。長髪の方は髪を結び、毛先が肌に触れないようにするのも有効です。前髪や耳、襟足の長さにも注意しましょう。
・衣類を清潔に保つ
アトピー性皮膚炎は汗が症状の悪化の要因になることもあります。そのため汗をこまめに拭い、下着や肌着をこまめに着替えることも大切です。下着は汗を吸いやすい素材を選び、洗剤も肌への負担が少ないものを選びましょう。
4. 再生医療でアトピー体質の改善を目指す
機能が損なわれた場所に必要な細胞を補う医療を再生医療と呼び、さまざまな病気や症状の改善に用いられるようになりました。アトピー性皮膚炎の治療を長年続けていても症状が改善しない場合には、新しい治療の選択肢として自由診療で受診することをおすすめします。
アトピー性皮膚炎で行う再生医療では、自分自身をコピーする能力(自己修復能力)とさまざまな細胞に変化する能力(分化能力)を持つ幹細胞を、静脈内投与して症状の改善を図ります。患者自身の幹細胞を使うためステロイドのような副作用を起こしにくい治療です。
5. まとめ
アトピー性皮膚炎は、かゆみを伴う湿疹が慢性的に良くなったり悪くなったりを繰り返す病気。主にアレルギーを起こしやすい人が、乾燥やストレス、汗などの環境要因が加わることで起こりますが、薬物療法やスキンケア、環境要因を特定することで症状を改善することができます。また現在では、再生医療により症状の改善を図ることも可能になりました。症状を発症されないためには、何よりも日常生活での予防対策が大事。この記事を参考に、万全な対策をされてくださいね。
参考:・厚生労働省「学童・成人アトピー性皮膚炎の臨床像・病態・経過」
https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/kenkou/ryumachi/dl/jouhou01-05.pdf
参考:日本皮膚科学会「アトピー性皮膚炎ガイドライン2018」
https://www.dermatol.or.jp/uploads/uploads/files/guideline/atopic_GL2018.pdf?http://www.nihonatopy.join-us.jp/padyna/genin/index.html#:~:text=%E3%82%A2%E3%83%88%E3%83%94%E3%83%BC%E6%80%A7%E7%9A%AE%E8%86%9A%E7%82%8E%E3%81%AF,%E8%A6%81%E5%9B%A0%E3%81%A8%E3%81%AA%E3%81%A3%E3%81%A6%E3%81%84%E3%81%BE%E3%81%99%E3%80%82
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