「再生医療は素晴らしい、夢の医療だと聞くけれど、デメリットはないの?」
「医療事故や高額請求などの悪いニュースを見たので、よくない面があるのでは?」
「再生医療」と聞いて、そんな疑問や懸念を抱く人もいることでしょう。
確かに再生医療には、デメリットやリスクがあります。
その主なものは、
・ほとんどは自由診療なので費用が高額
・症例数が少ない
という2点です。
まだ新しい医療であるためわかっていないことも多いですし、保険が適用されている治療が少なく、自由診療をするクリニックでは高額の治療費が必要となるのです。
そこでこの記事では、
◼️ 再生医療のデメリット
について掘り下げます。
また、再生医療に使われる幹細胞が3種あり、それぞれ特長が異なるため、
◼️ 幹細胞それぞれのデメリット
も比較します。
さらに、「再生医療を受けたいけれど、不安もある」という人のために、
◼️ 再生医療でのトラブル実例
◼️ リスクを最小限にする3つの方法
についても紹介します。
この記事を最後まで読めば、デメリットを正しく認識した上で、再生医療を受けるかどうか判断できるようになるはずです。
目次
1. 再生医療のデメリットとは
2012年、現・京都大学iPS細胞研究所所長である山中伸弥教授が世界ではじめてiPS細胞の作製に成功し、ノーベル生理学・医学賞を受賞して以来、「再生医療」は俄然注目を集めるようになりました。
医学者や研究者だけでなく、一般の人々の中でも、
「あの難病にも効果があるそうだ」
「いつかは人間の身体のあらゆる部位を、新しく再生させることができるようになるのではないか」
など、大きな期待が高まっています。
が、再生医療はまだ新しい医療であって、わからないことやこれから検証が必要なことが多くあります。
メリットもありますが、解決されていないデメリットもあるのです。
例えば、以下のような問題点があげられます。
1)ほとんどは自由診療なので費用が高額
2)症例数が少ない
では、それぞれについてくわしく見ていきましょう。
1-1. ほとんどは自由診療なので費用が高額
再生医療はさまざまな疾患を治療できると期待されていますが、実際はまだまだ研究段階にあるものが多く、一般的に受けられる治療は限られています。
中でも保険適用で受けられる治療は、以下の表の左の2項目に挙げたものしかありません。
それ以外はすべて自由診療で、全額自己負担です。
病気の治療だけでなく、美容や脱毛改善などでも再生医療を提供している医療機関がありますが、いずれも費用が高額なのが難点と言えるでしょう。
国の承認を受けている治療 | 先進医療と認められている治療 | 自由診療で受けられる治療 |
---|---|---|
・造血幹細胞移植後の急性移植片対宿主病 <条件及び期限付き承認> | ・胸髄損傷 | ・がん |
1-2. 症例数が少ない
現在「再生医療」と言われているものの中心は、「幹細胞」という細胞を用いた治療法です。
これは人間の細胞が再生する力を利用して、病気やケガを根本的に治療しようというものですが、そのはじまりは1970年代で、まだ50年ほどの歴史しかありません。
人に対して臨床応用されるようになったのはさらにあとのことで、従来の治療法と比較すると症例数はまだまだ少ないのです。
そのため、有効性や安全性が確認されていないものが多いのもデメリットです。
ちなみにこの幹細胞と、再生医療のしくみについて簡単に説明しておきましょう。
再生医療とは、病気やケガによって本来の役割を果たせなくなってしまった身体の組織や臓器を、人間の細胞がもっている自然に再生する力を生かして、ふたたびもとのように働くことができる状態にする医療です。
病気やケガをして、身体の組織・臓器が損なわれたり、その機能が失われた場合、従来の治療では薬を投与したり手術で患部を切除したり、他の人の臓器や人工臓器をそのまま移植して置き換えたりしますよね。一方で再生医療は、細胞自らが再生する力によって機能を回復させます。
「細胞自らが再生する力」とは、「トカゲのしっぽ」によく例えられます。
トカゲは危険に遭遇すると、自らしっぽを切って逃げますが、切ったところからまたしっぽが生えてきますよね。
人間の場合、切断された部分が自然にそのまま生えてくることはありませんが、傷が自然にふさがったり折れた骨が繋がったりします。
これは、人間の細胞にも再生する力が備わっているためです。
この再生する力を持った細胞が「幹細胞」です。
幹細胞の再生する力を最大限に高めることで、トカゲのしっぽのように失われた組織や臓器をもと通りに再生しようとするのが「再生医療」なのです。
この再生医療のしくみについては、別記事「再生医療?仕組みや再生医療でできることをわかりやすく解説」にくわしく説明がありますので、そちらも参照してください。
参考:『驚異の再生医療 〜培養上清とは何か〜』上田実、扶桑社新書(2019年)
参考:再生医療について(厚生労働省)
参考:再生医療ポータル(一般社団法人日本再生医療学会)
参考:SKIP(Stemcell Knowledge & Information Portal)(国立研究開発法人日本医療研究開発機構<AMED>)
参考:テーマパーク8020(日本歯科医師会)
参考:脊髄再生医療に関する解説(国立障害者リハビリテーションセンター)
2. 幹細胞3種それぞれのデメリット
前章の最後に幹細胞について説明しましたが、それには理由があります。
実は再生医療に用いられる幹細胞は、主に以下に挙げた3種があり、それぞれ異なる特徴、メリット・デメリットがあるのです。
1)体性幹細胞
2)ES細胞
3)iPS細胞
わかりやすく比較表にしてみたので、以下を見てください。
体性幹細胞 | ES細胞 | iPS細胞 | |
---|---|---|---|
作製方法 | ヒトの身体に自然に存在する | 受精卵が数回分裂したあとの細胞のかたまり=「胚」から細胞を取り出し、培養する | ヒトの皮膚や血液などの細胞に、特定の4つの遺伝子を導入して培養する |
特長・能力 | 特定の種類の細胞に分化が可能 | すべての種類の細胞に分化が可能=多能性幹細胞 | すべての種類の細胞に分化が可能=多能性幹細胞 |
移植の適合性 | 患者自身の細胞を用いるので、免疫拒絶反応が起こらない | 他人の細胞から作られるため、免疫拒絶反応が起こるリスクがある | 他人の細胞からも患者自身の細胞からも作ることができ、免疫拒絶反応が起こるリスクは低い |
倫理的な問題 | 患者自身の細胞を用いるので、問題はない | 受精卵を使うため、ヒトの命に操作を加えることが問題視される | 皮膚や血液などありふれた細胞を用いるので、問題はない |
臨床上の課題 | ・体内に存在する数が少ない | ・腫瘍化、がん化のリスクがある | ・腫瘍化、がん化のリスクがある |
臨床の現状 | 現在一般的に実施されている幹細胞を利用した再生医療は、すべて体性幹細胞を用いたもの | 海外で臨床試験あり | 2014年に日本で世界初の臨床手術を実施 |
デメリット | ・体内に存在する数が少ない | ・受精卵を利用するため倫理的に問題視されている | ・がん化の可能性がある |
では、それぞれくわしく説明しましょう。
2-1. 体性幹細胞のデメリット
体性幹細胞は人の身体に自然に存在する幹細胞で、現在一般的に行われている幹細胞を用いた再生医療は、すべてこの体性幹細胞によるものです。
ただ、以下のようなデメリットがあります。
2-1-1. 体内に存在する数が少ない
体性幹細胞を用いた治療を行うには、患者自身から幹細胞を採取して、体外で培養する必要があります。
が、そもそも体性幹細胞は、体内に存在する数が少ないのが難点です。
例えば、骨髄移植などでも使われる造血幹細胞という細胞があります。
これを骨髄から採取するのですが、骨髄の中にある細胞全体のうち0.01%、つまり1万個に1個の割合でしか見つけることができないのです。
また、同じく骨髄にある間葉幹細胞(MSC)という細胞はさらに少なく、0.001〜0.01%しか存在しません。
そのため、再生医療に利用するにはたくさんの骨髄液を採取する必要があり、患者の負担が大きいのがデメリットです。
2-1-2. 増殖能と分化能に限りがある
そもそも幹細胞には、
1)分裂して自分と同じ細胞を何度でも作り出すことができる「自己複製能」
2)異なる種類のさまざまな細胞に分化することができる「多分化能」
というふたつの能力があり、再生医療ではこれを生かして身体の失われた組織や機能を回復させています。
「分化」というのは、細胞が分裂する過程で皮膚の細胞になったり、骨の細胞になったり、神経、筋肉、血液、さまざまな臓器になったりと、決まった役割を持つことを指します。
ES細胞とiPS細胞はこれらの能力に限りがなく、ほぼ無限に分裂を繰り返して増殖し、人間の身体のあらゆる細胞に分化することができるのが特長です。
が、体性幹細胞は、分裂できる回数に限界があり、分化できる細胞の種類も限られているのです。
「万能細胞」と呼ばれるES細胞やiPS細胞に比べて、限界があるのは大きなデメリットだと言えるでしょう。
2-2. ES細胞のデメリット
ES細胞は、患者自身ではなく他人の「胚」から作られる幹細胞です。
体性幹細胞に比べて、ほぼ無限に分裂・増殖し、人間の体のすべての細胞に分化することができるというメリットがありますが、一方で臨床への応用を阻む以下のような大きなデメリットもあるのです。
2-2-1. 倫理的に問題視されている
ES細胞の最大の問題点は、倫理的に疑問視されていることです。
ES細胞自体の是非が議論の的となっているため、研究の進捗に歯止めがかかっている側面があるのです。
くわしく説明しましょう。
ES細胞の材料となるのは「胚」ですが、これは受精卵が数回分裂した細胞のかたまりです。そのまま分裂が進めばヒトなどの生物になるものです。そこから細胞を採取して、ES細胞を作ります。
これに対して、「胚=命のはじまり、命の萌芽」と考える人たちが、ES細胞を作るのは人間が命に手を加えることであり、倫理的によくないことだと主張しているのです。
そのため、ES細胞の研究には医学的な課題とは別に、つねに倫理的な議論が避けられないというデメリットが生じています。
2-2-2. 他家移植なので拒絶反応の可能性がある
人間の身体は、細菌やウイルスなどの異物が侵入すると、それを排除しようとする働きがあり、これを「免疫」と呼んでいます。
前述したように、ES細胞の材料は受精卵ですから、必然的に他人の細胞から作られることになります。
再生医療でこれを身体に移殖する「他家移殖」では、免疫が働いて拒絶反応を起こすリスクがあるのです。
一方で、体性幹細胞の場合は患者自身の細胞を培養して移殖する「自家移殖」なので、拒絶反応は起こりません。この点も、ES細胞の大きな問題です。
2-2-3. がん化の可能性がある
ES細胞は身体のどんな細胞にも分化することができますが、そのためには採取した細胞を確実に目的とする細胞に分化させてから患者に移殖しなければなりません。
もし分化されていない細胞が混じっていると、それが増殖、でたらめに分化してがん化してしまう危険性があるからです。
が、残念ながらES細胞を100%確実に目的の細胞に分化させることができる方法は、まだ確立されていません。
そのため、現在のところはがん化のリスクを避けられないのです。
2-3. iPS細胞のデメリット
iPS細胞は、3種の幹細胞の中でもっとも注目を集めている反面、発見から日が浅く研究も始まったばかりです。
まだわからないことも多い中で、主なデメリットとしては以下のふたつが挙げられるでしょう。
2-3-1. がん化の可能性がある
iPS細胞には、ES細胞とは別の理由でがん化のリスクがあります。
それは、iPS細胞の作り方に起因しているため、まずは簡単に作製方法を説明しましょう。
ES細胞の材料となる胚は、まだ分化していない(=役割が決まっていない)細胞からできています。
そのため、どんな組織・臓器の細胞にも変化させることができるわけです。
一方で、iPS細胞の材料となるのは人間の皮膚や血液などの細胞です。これらはすでに分化した成熟細胞ですから、そのままでは再生医療に利用することができません。
そこで、成熟細胞をまだ分化されていない幹細胞の状態に初期化(=リプログラミング)するのです。
ノーベル賞を受賞した山中教授は、この初期化ができる遺伝子を4つ発見し、それを皮膚細胞の中に取り込ませることで、初期化された幹細胞=iPS細胞を作製することに成功しました。この4つの遺伝子は、「ヤマナカファクター」と呼ばれています。
が、このヤマナカファクターのひとつ、c-Mycという遺伝子は、実は「がん原遺伝子」といって、これが細胞内で活性化することでがんを引き起こす可能性があるのです。
ただ、このがん化リスクに対応して、別の遺伝子で代替させる研究も進んでいるので、今後は改善が期待できそうです。
2-3-2. 時間と費用がかかる
もうひとつの大きなデメリットは、iPS細胞の作製には大変な費用と時間がかかるということです。
細胞を培養する施設の維持費は年間で数千万円にのぼるとも言われます。
培養期間についても、京都大学iPS細胞研究所の2016年の実験では、心筋細胞がもっとも移殖効果の高い状態になるには20日間が最適期間だとわかりました。それでは急性疾患の場合には間に合いません。
そのため現在は、培養期間を短縮する研究や、あらかじめiPS細胞をストックしておくプロジェクトなどが進められ、この問題の解決が図られています。
参考:「再生医療等の安全性の 確保等に関する法律について」厚生労働省
参考:「ヒト幹細胞を用いる臨床研究に関する指針」(平成25年厚生労働省告示第317号)
参考:「第10回厚生科学審議会科学技術部会 ヒト幹細胞を用いる臨床研究に関する指針の見直しに関する専門委員会 議事次第」厚生労働省 「資料3:ヒト幹細胞の定義(中畑委員提出)」
参考:「第15回厚生科学審議会科学技術部会 ヒト幹細胞を用いる臨床研究に関する指針の見直しに関する専門委員会 資料」厚生労働省 「「臨床応用」における幹細胞の特徴 比較」
参考:SKIP(Stemcell Knowledge & Information Portal)(国立研究開発法人日本医療研究開発機構<AMED>)
参考:「身体のはじまりを知る―幹細胞のはなし―」小川亜希子(生物工学会誌 第94巻第5号、2016年)
参考:「Green博士の再生医療」井家益和(生物工学会誌 第92巻第3号、2014年)
参考:「iPS 細胞の可能性と今後の課題」高橋 政代(学術の動向 第14巻第8号、2009年)
参考:「再生医療の現状と問題点」中畑龍俊(炎症・再生 第24巻第2号、2004年)
参考:「『臨床応用』における幹細胞の特徴 比較」厚生労働省
参考:「先天性尿素サイクル異常症でヒトES細胞を用いた治験を実施―ヒトES細胞由来の肝細胞のヒトへの移植は、世界初!―」国立成育医療研究センター 日本医療研究開発機構
参考:「ヒトES細胞研究における生命倫理 : 我々は何を審議してきたか(第15回日本生命倫理学会年次大会シンポジウム)」高木美也子(生命倫理 第14巻第1号、2004年)
参考:「再生医療用細胞に混入する未分化ヒトiPS細胞の高感度検出法を開発 ~再生医療の安全性向上に貢献~」東京大学医科学研究所
参考:「最も移植効果の高い心筋細胞の成熟ステージを発見~ヒトiPS細胞から分化させた心筋細胞の移植効果を高める~」京都大学iPS細胞研究所 CiRA(サイラ)
参考:「ゲノム編集技術を用いて拒絶反応のリスクが少ないiPS細胞を作製」京都大学iPS細胞研究所 CiRA(サイラ)
参考:「iPS細胞に“拒絶反応なし”」国立研究開発法人科学技術振興機構
3. 再生医療でのトラブル実例
再生医療にはまだ解決されないさまざまなデメリットがあることがわかりましたよね。
では、これらのデメリットのために、どのような不利益やトラブルが起こり得るでしょうか?
この章では、実際に起きた再生医療でのトラブルをひとつ紹介しておきましょう。
2012年、ある女性が美容外科クリニックを訪れました。
彼女が長年にわたって「身体のしびれ」に苦しんでいることを知った医師は、幹細胞治療で症状が改善する可能性があるとして、治療を勧めました。
患者は同意して幹細胞移殖を受けましたが、結果は症状改善どころか、むしろ悪化してしまったというのです。
このトラブルは民事裁判となりました。
クリニック側は、事前に適切な説明をしたと主張し、実際に患者側が事前説明書にしたがった説明を受けて納得・同意するという同意書に署名もしていました。
が、裁判の中で、
・術前の血液検査で患者がB型肝炎ウイルスに感染していることがわかったため、当初予定していた自家移殖ではなく他家移殖に変更されたが、署名された同意書や事前説明書は自家移植についてのものだったこと
・説明書を受け取ったのが治療当日だったこと
・安全性や有効性が確認されていない治療だったにもかかわらず、クリニック側は安全性を強調したこと
などが明らかになったのです。
その結果、2015年に出た判決ではクリニック側が説明義務を怠ったことが認められ、治療費全額134万1186円と慰謝料50万円を患者に支払うよう命じられました。
このような訴訟で患者側の訴えが認められるのは非常に珍しいそうです。
そのため、再生医療に関わる研究者たちがこの裁判と判決を考察し、論文も発表しています。(「再生医療を実施する自由診療クリニックに対する民事訴訟 ―明らかになった実態と残った問題」一家綱邦・藤田みさお・八代嘉美・池谷博/日本医事新報4766号、2015年)
この論文の著者たちは、そもそもこの患者の症状に対して当該の幹細胞移植が適切だったのか、という点にも疑問を呈しています。
この件は裁判になったこともあって注目されましたが、自由診療で受けた再生医療に関するトラブルはさまざまあります。
2010年には京都のクリニックで幹細胞治療を受けた韓国人男性が死亡したという重大事件が報道されました。
他にも、美容目的で再生医療を受けたが痛みや不調が出てしまう、かえって悪化する、高額な費用を提示されるといったケースにも注意が必要なようです。
参考:「自由診療による「再生医療的行為」に警鐘を鳴らす世界的に稀有な裁判例を 分析・報告」京都大学iPS細胞研究所 CiRA(サイラ)
参考:「自由診療による「再生医療的」行為について知っておくべきこと」八代嘉美(電子マガジンSYNODOS)
参考:「再生医療等の治療における健康被害補償に関する手引き」一般社団法人日本再生医療学会
4. リスクを最小限にする3つの方法
ここまで再生医療のデメリットをあげてきました。
「こんなにリスクがあるなんて、再生医療は受けてはいけないのでは…?」と不安になった人もいるかと思います。
が、一方で再生医療にはメリットも多くあり、これからさまざまな病気を根本的に治療してくれる可能性がある、画期的な医療だということは疑いありません。
それについては別記事「再生医療のメリットとは?幹細胞3種それぞれのメリットを表で比較」にくわしく説明がありますので、ぜひそちらも読んでみてください。
この記事では最後の締めくくりとして、再生医療のデメリットやリスクを最小限にとどめるにはどうすればいいか、その方法を提案しておきましょう。
4-1. 厚生労働省に届出をした医療機関を選ぶ
まず第一に重要なのは、医療機関の選び方です。
実は再生医療に関しては「再生医療等の安全性の確保等に関する法律」という法律があり、再生医療を行う医療機関・研究機関は、自由診療であっても厚生労働省に届出をして受理されなければならないと定められているのです。
が、中には無届けで再生医療を行う病院もあり、過去にはそれで医大のスタッフが逮捕された例もありました。
安全で有効な再生医療を受けたいのであれば、まずその医療機関が「厚生労働省に届出をしている医療機関・研究機関であるか」を確認しましょう。
厚生労働省が「再生医療等提供機関一覧」としてリストを公開していますので、こちらでチェックしてください。
ただこの一覧は、疾患別や地域別などの検索はできません。
検索したい場合は、一般社団法人日本再生医療学会が開設しているポータルサイト「再生医療ポータル」の「提供機関をさがす」ページがおすすめです。
地域、診療科、治療法、病名、部位などで検索することができます。
ただし、ここに掲載されている機関は、
◾️自由診療を行う医療機関
◾️臨床研究を行う医療機関
に限られるので、厚生労働省のリストと補完しながら利用してください。
4-2. 症例数が多い医療機関を選ぶ
医療機関選びでもうひとつポイントになるのは、症例数です。
再生医療はまだ新しい医療なので、クリニックによっては実際に治療した症例や患者数が少ないところもあるでしょう。
特に自由診療の場合は、医師の経験や技術力によって治療の効果が大きく左右される可能性もありますので、できればなるべく多くの治療経験がある医療機関・医師を選んでください。
4-3. 納得いくまで説明を受ける
医療機関が決まったら、納得いくまでインフォームドコンセントを受けましょう。
治療法、副作用、症状が改善されるまでの期間、美容目的の場合は同じ治療を受けた人の写真を見せてもらうなど、くわしく質問してください。
「何を質問すればいいのかわからない」という人には、一般社団法人日本再生医療学会が「再生医療(治療)を受ける際に確認するポイント」というチェックシートを公開していますので、このリンクからプリントアウトして持参するといいでしょう。
5. まとめ
いかがですか?
再生医療が抱えるデメリットや問題点がよく理解してもらえたかと思います。
では最後に記事全体の内容を振り返ってみましょう。
◎再生医療のデメリットは大きく2つ
・ほとんどは自由診療なので費用が高額
・症例数が少い
◎幹細胞3種それぞれのデメリットは、
・体性幹細胞のデメリット
→体内に存在する数が少ない
→増殖能と分化能に限りがある
・ES細胞のデメリット
→倫理的に問題視されている
→他家移植なので拒絶反応の可能性がある
→がん化の可能性がある
・iPS細胞のデメリット
→がん化の可能性がある
→時間と費用がかかる
◎再生医療でのリスクを最小限にする3つの方法は、
・厚生労働省に届出をした医療機関を選ぶ
・症例数が多い医療機関を選ぶ
・納得いくまで説明を受ける
繰り返しますが、再生医療はまだまだ新しい医療です。
解消されないリスクやデメリットもありますが、その反面メリットも大きいのです。
どちらも正しく理解して、あなたが再生医療を受けるか受けないか、納得いく判断ができることを願っています。
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